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土薫る刺繍について

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  [ Inteinational Visitors] Translation tools in web browsers like Google Chrome can automatically translation this page into your preferred language 刺繍をしているとき、 私は何かを作っているのではない。 何かを繕っている。 見えない傷を。 名前のない痛みを。 言葉にならなかった感情を。 一針、一針の意味 渦を巻く糸は、 時間の層を可視化する。 グリッド状のステッチは、 混沌に秩序をもたらす試みだ。 色とりどりの四角は、 感情の断片を並べた風景。 完成した作品を見ても、 私には何が癒えたのかわからない。 ただ、針を置いたとき、 少しだけ呼吸が深くなっている。 この営みの名前 日本では「刺し子」と呼ばれる技法がある。 海外では「Sashiko」、「Boro」、「Slow Stitch」 として知られている。 しかし、私がしているのは、伝統技法の継承ではない それは、もっと個人的で、もっと普遍的な何かだ。 糸と針があれば、誰でもできる。 特別な才能は要らない。 必要なのは、ただ、自分の手を信じることだけ。 なぜ、今、これを続けるのか 57年生きてきて、 ようやくわかったことがある。 言葉にできないものは、 言葉にしなくていい。 ただ、形にすればいい。 糸で、布で、手で。 この作品たちは、 誰かに見せるために作っているわけではない。 でも、もし誰かが見て、 「これ、わかる」と思ってくれたなら、 それは、私の孤独が、 少し軽くなった瞬間だ。 私は英語で、こう呼んでいる。 “Earthy-Rhythm  Embroidery” 土の香りがする刺繍。 大地に根を張るように、 糸を刺す。 風に揺れる草のように、 針を動かす。 雨が土に染み込むように、 色が布に沈む。 終わりのない旅 この作品に、完成はない。 一枚仕上げても、 また次の布が待っている。 それでいい。 人生に終わりがあるように、 この営みにも、いつか終わりが来る。 それまで、私は針を持ち続ける。 静かに。 黙々と。 土の匂いを嗅ぎながら。 使用資材:針  https://amzn.to/4qRrN5X      糸       マタルボン  ...

魂の往還 ── 表裏に刻む、生の軌跡

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  [ Inteinational Visitors] Translation tools in web browsers like Google Chrome can automatically translation this page into your preferred language 針を一本通すたび、私は「自分」という名の広大な大地に向き合っている。 完成された図案を追い求めるのではない。 この手の中に、逃げ出そうとする時の重みを繋ぎ止めるために。 私の刺繍におい て、表面の糸は**「意識の流れ」**そのもの。 それは一見、静かな旋律を奏でているように見えるかもしれない。 しかし、その一針一針は、この不確かな世界において「私はここにいる」と刻みつける、 静かな意志の集積。 表層に現れる美しさは、決して偶然の産物ではない。 その裏側には、幾層にも重なる「魂の往還」が刻印されている。 布を翻せば、そこには剥き出しの真実が広がっている。 複雑に絡まり、執拗に結ばれた糸の群れ。それは、迷いそうになる心を手繰り寄せ、一寸先も見えない静寂の中から「私」という存在を再構築しようとした、切実な歩みの痕跡。 人は、美しく整った表面だけで生きているのではない。 誰の目にも触れぬ裏側で、幾度も心を手繰り寄せ、また繋ぎ合わせる。 その人知れぬ積み重ねこそが、人間の本当の厚みであり、私という生命の証。 この実直な営みは、完成という名の終着点を持たない。 ただ、表と裏、光と影を同時に縫い込みながら、一人の人間としての「真実」を地層のように積み上げていく。 私の刺繍は、人生の二面性をまるごと受け入れ、自分自身を救うための儀式。 その重みに耐えうる布だけが、言葉を超えた沈黙の中で、 私という魂を支えてくれるのだと信じている。 使用資材:針  https://amzn.to/4qRrN5X      糸       マタルボン       コスモ刺繍糸  https://amzn.to/4qRZSmv        糸通し   https://amzn.to/3PKRdT1       🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 🌿 ...

針音と私の人生:スローステッチが映し出す、一人の人間としての歩み

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[ Inteinational Visitors] Translation tools in web browsers like Google Chrome can automatically translation this page into your preferred language 私たちは長い年月、一人の人間として、それぞれの人生を歩んできました。 喜びも悲しみも、すべてを経験しながら積み重ねてきた時間は、 何にも代えがたい大切な財産です。 その歩みを静かに確かめ、自分自身を慈しむ場所。 それが私にとっての「スローステッチ」の時間です。 1. スローステッチという「静かな革命」 現代、世界中で「スローステッチ」が注目されています。 それは単なる刺繍の技法ではなく、 消費社会やスピードを重視する生き方に対する、静かな抵抗でもあります。 完璧な図案や、機械のような正確さを求める必要はありません。 大切なのは、布と糸を通じて、自分の内面にある「静寂」にアクセスすることです。 一針ずつ進めるそのリズムは、世界中の愛好家たちにとって、 心を整える瞑想(メディテーション)として愛されています。 人生という長い道のりを歩き続けてきた私たちにとって、 このように「いま、ここ」にある自分と向き合う時間は、何よりの贅沢です。 2. 五感を通じて取り戻す、生の実感 スローステッチの最大の魅力は、五感を通じて心に深い安らぎをもたらすことです。 布の肌触りと歴史   指先で布の肌触りを感じてみてください。 柔らかなリネンや、使い込まれたコットンの質感に触れるとき、 心の中にある不要な緊張がゆっくりと解けていきます。 布の一枚一枚には、それを作った人や使ってきた人の物語があります。 その歴史に自分の針跡を重ねることで、私の心と会話をしている自分に気が付きます。 糸が奏でる「針音(しんおん)」   静かな部屋で針を進めると、 糸が布を通り抜ける「シュッ」という小さな音が聞こえてきます。 この音は、今の自分だけが聞くことのできる、穏やかで誠実なリズムです。 この針音に耳を澄ませる時間は、外の世界の騒音を遮断し、 自分自身の鼓動に寄り添う時間でもあります。 3. 未完成という美学、歩みの記録 スローステッチには「正解」がありません。 不揃いなステッチや、重なり合った布...

冬の光を縫う。お転婆な監督と、あるがままの私。

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[ Inteinational Visitors] Translation tools in web browsers like Google Chrome can automatically translation this page into your preferred language 冬の朝、部屋の隅に溜まる静かな光を眺めていると、 ふと、これまでの長い旅路を振り返ることがあります。 キャリアを重ね、自立を求め、一人の女性として「城」を築いてきた年月。 背負っていた荷物をそっと下ろしてから5年余り。 50代半ばという今の季節を迎え、体の衰えも感じるようになりました。 それでも、「毎日を暮らす」ことができれば十分です。 今回、手元にあるのは、冬の空を映したような、深いくすみグレーの布。  そこをゆっくりと進んでいくのは、 レンガ色の落ち着きと、橙色の熱量を併せ持った綿刺繍糸。 この糸は、日本の老舗手芸店・越前屋さんの「マタルボン」です。  二十年も前に買い求め、今日まで大切に仕舞い込んできたもの。  私にとっては、刺し子糸よりも、このマタルボンのほうが、 民藝に近い「土の薫り」がするのです。  その素朴で柔らかな質感が、今の私の指先には一番しっくりと馴染みます。 二十年という月日を経て、ようやくこの糸に相応しい自分になれた。  そんな気がして、一針ごとに、古い自分を脱ぎ捨てていく。  あるがままの自分に戻り、この瞬間の音に耳を澄ませる。 しかし、そこには、深い静寂だけではなく、愛おしい賑やかさもあります。  刺繍する周りで、お転婆な「現場監督」愛猫メイプルが、ひょいっと机に飛び乗ってくる。 その奔放な姿に、思わず「cat monster !」[00:06:08] と呟いてしまう。  そんな、何気ない、けれどかけがえのない日常の断片。 この映像は、特別なメッセージを込めたものではありません。  ただ、同じように日々を歩み、ふと足を休めたいと感じている誰かへ、 ひっそりと差し出す手紙のようなものです。 ただ、静かなリズムに身を委ねる。 そんな時間を、皆さまと分かち合えたら。 https://youtu.be/PHHmgEbUALo?si=p1RcukKCShjTS7A7 愛用...

透明な布に灯る静けさ——オーガンジー刺繍と光の時間 Point de Beauvais / Organza work

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[ Inteinational Visitors] Translation tools in web browsers like Google Chrome can automatically translation this page into your preferred language はじめに – 透明な布と光のさざめき オーガンジーに針を落とすとき、 糸が布の上にそっと溶け込んでいく。 その静けさが好きで、 昨夜ふと手を動かしたくなり、 久しぶりにオーガンジー刺繍を。 今回の動画では、 Point de Beauvais(ボベ刺繍) の技法。 光を受けて静かに浮かび上がる幾何学模様に、 針を。 ▶ YouTube Shorts(動画はこちら) https://youtube.com/shorts/5T-IbtByvAE?si=AM9CYatPurXdKrhp 静かに灯る線の動き – 刺繍のプロセス 淡いグレートーンの糸は、 オーガンジーの透ける質感とぶつからず、 ただ“線”だけがそっと残る。 針が布をすべる音、 糸切りバサミのわずかな余韻—— その小さな音までが、一本の短い映画のよう。 幾何学模様に宿るリズム 今回の図案は、 パッチワーク用の定規で素早く描いた 幾何学。 均一な形が連続するだけで、不思議と心が落ち着く。 動画ではまだ途中段階。 あとは、 中心にビーズを添えて完成。 ビーズで灯る光が、 全体の静けさをより際立たせてくれるはず。 使用している道具 • ビーズクチュールニードル(クロバー) • Apollon 刺繍台 • DMC コットンパール刺繍糸(415番) • 糸切りバサミ(愛用品/クロバー)     https://amzn.to/4oO8hpN 道具はすべて、左利きの私が長い時間をかけて探し当てた “しっくりくる相棒” たちです。 おわりに – 光と影が織りなす時間 刺繍は“光だけ”では成立しなくて、 影があるからこそ線。 この小さな布の中で、 光と影が、 静かに息をする。 その瞬間を、 これからも映像として残していきたい。 🌸 最後に:私の作品や制作活動にご興味がある方へ ■ YouTube(制作風景) https://www.youtube.com/@yumikosakuraembroider...